一般人のレベルから富裕層に駆け上がるためにはリスクを取る必要があります。相続や贈与により資産やビジネスを継承する場合を除いては絶対的な真実だと思います。つまり、相続や贈与以外では高額宝くじに当選する等の運に恵まれない限り、リスクを取った者のみが大きな収益を得ることができるのです。
しかし、何も考えずにリスクを取っても、富裕層へ駆け上がることはまず不可能です。やみくもにリスクばかり取り続けていると、確実に破綻してしまいます。収益を得るためにはリスクを取るべき部分がどこなのかを確実に見極める必要があるのです。
リスクを取るべき部分を正確に見極めることは非常に難しいのですが、しっかりと判断できるようになれば投資家・事業家として大きな結果を残せる可能性が高まります。
そして、このリスクを取るべき部分は、その投資や事業の収益性に最も大きな影響を及ぼすことが多く、どんなに検証してもはっきりとした解答を得ることができないことがほとんどです。
最終的には、この部分のリスクを受け入れるかどうかについて、思い切って決断するしかありません。 つまり、全ての要素を検討し尽して、最後に残った未解決部分こそがリスクを取るべき部分なのです。
投資や事業で失敗する方は、リスクを取ってはいけない部分(=検証すれば投資判断の可否が分かる部分)のリスクを取ってしまい、必然的に失敗してしまうことが非常に多いです。
最も重要なことは、リスクを取るべき部分を正確に見極める能力を磨くことだと思います。これは日々トレーニングを積むしかありません。もちろん、自己流ではなかなか能力が向上しないので、身近に居る成功者の投資や事業の経験談から、リスクを取るべき部分を学んでいくことが重要です。
公売物件の入札参加の是非について、リスクの取り方の例を示します。この物件のスペックは下記のごとくです。現地説明会では建物の状態は比較的良好でした。
最低入札価格: 190万円
元公務員宿舎
土地面積: 720 ㎡
建物面積: 1020 ㎡
築49年のRC造4階建て陸屋根、 全24戸
この案件での主なリスクは下記のごとくです。
上記リスクのうち、②~⑦は検証によりある程度の回答を得ることが可能です。今回のケースでは③がかなりのマイナス要素となります。調査すると固定資産評価額は法定耐用年数を全経過していても再建築価格の20-25%の評価となるそうです。
つまり、銀行の担保評価が付かないにも関わらず、高額な不動産取得税や固定資産税を支払う必要があるのです。一種の逆ザヤと言っても過言ではありません。
⑦の出口戦略を、更地売却・満室にして売却・永久保有の3パターンで検証した結果、入札可能価格はほぼ最低入札価格付近に落ち着きました。やはり、鑑定価格はそれなりに実勢を反映しているようです。
そして、今回の案件で未解決部分のリスクは①の客付け難易度です。公務員宿舎であったため、レントロールが全く存在しません。また、賃貸サイトで調査しましたが、近隣に比較可能な物件が存在しないのです。
客付けの技術に関してはそれなりに自信がありますが、土地勘が無く建物スペックに劣るので、私にとって①は未解決なリスクとなります。この物件の近隣大家さんなら充分検証可能なので、今回のケースではあくまで私にとってのみの未解決リスクとなります。
私は日々持ち込まれる案件に対して、このようなシュミレーションを数日掛けて検証しています。