資産継承対策として半年以上にも渡って一般社団法人の設立を検討してきましたが、最終的には設立を見送ることにしました。これは顧問税理士と何度も協議する中で出した結論です。
ご存知の方も多いと思いますが、一般社団法人は現在の税法では”究極の相続税対策”と言われています。税務上、一般社団法人には資産の持ち分という概念がなく、社員(=株主)に相続税がかからないからです。
表面上は資産に対する所有権が無いのですが、法人に対する支配権を握ることができるため、所有権というカタチに拘らないのであれば実質的に法人の資産を保有していることになります。
このため、一般社団法人に資産を移すと永久に相続税がかからないことになるのです。一般社団法人の制度設計時には、このような使われ方は想定されていなかった可能性が高いです。
しかし一般社団法人による相続税逃れが認められ続けると、長期的には日本から株式会社が消え去ります。このため長期に渡って放置されるはずがなく、私はいずれ逃げ道が塞がれる可能性が高いと考えました。
将来的に一般社団法人での相続対策が塞がれる可能性が高いことは、法人生命保険に対する国税庁の対応を見れば明らかです。将来の税務リスクの高さを鑑みると一般社団法人に賭けるのはリスキーだと思います。
そんなことを考えて、私は一般社団法人ではなく普通の合同会社設立に転進したのですが、タイムリーに一般社団法人についての記事が日経新聞にありました。
2013年までの2年間でそれ以前の2年間の2.4倍の約1万7000社が設立され、全国各地で一般社団法人の「設立ラッシュ」が起きているそうです。すべてとは言わないが、多くが相続税対策とのことです。
私のような泡沫でさえ知っているぐらいなので、一般社団法人の存在を知らない富裕層は少数派でしょう。そして日経新聞にまで採り上げられるぐらいですから、国税庁が対策を検討していないはずがありません。
富裕層と国税庁のいたちごっこはこれからも続くのでしょうね。
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